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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     83          < リストへ >
遭難フリーター
  2007年10月5日に山形ドキュメンタリー映画祭で上 映されるこの作品に英語字幕をつけました。派遣労働のショッキングな生態を描いて秀逸です。世界的ブランドである製造業の大企業が、労災も有給も何の手当 てもなく昇給もない派遣労働者を正規社員と同数近く導入して工場での製造作業を回転させている、という現実が何を示唆するのか。それまではパートタイマー を雇っていたのが完全に派遣労働者に切り替えられたのだろうか。つまり少なくともその企業が雇っていたパートタイマーは雇用保険、健康保険、厚生年金等加 入制度などがあったと思うのですが、派遣労働者はそんなものは一切なし。工場に来て仕事をして、会社の備品、例えばゴミ箱などを使うことも出来ず、仕事が 終わったら派遣会社にあてがわれたアパートに帰る。それが延々と続いていく。フリーター、というご身分から最大限に搾取することを目的とした、恐ろしいシ ステムだと思われます。信じられないような低賃金で外国で現地の人を働かせて、ということをこの国だけでなく、多くの先進国の製造業はやってきたわけです が、ここにきて小泉元首相の規制緩和によって可能になった「製造業への労働力派遣」をもって、ついに日本の労働力搾取の矛先は自国民に向けられた訳です。 よその国でやるよりはマシなのかもしれませんが・・・。第三世界で工場を作って現地の人を雇う、といことには雇用機会創出という現実が表にあるのもわから ないではないですが・・・。「遭難フリーター」で切り取られた現実は、終身雇用的雇用条件を維持できる経済基盤を失った社会に何がおきるのか、と言う厳し い現実の最初の1コマなのか。それとも緩和されて3年しか経っていない労働力派遣の合法化が生んだ単なるワルノリでやがて法的に改善されていくものなの か(このエントリーを書いた後でグッドウィルが業務停止になったりしてますから、まだ社会の理性は保たれている、ということでしょうか)。何にしてもこの 「遭難フリーター」は、皆が中流のような気がしていた時代は本当に過去のものになったんだなあ、ということを感じさせてくれるドキュメ ンタリーです。
 この作品からははっきり見えないのですが、監督の岩淵さんは、実は漠然と将来の夢を探してその場しのぎで労働をしているという一般的なイメージのフリー ターではないようです。なにしろドキュメンタリー映画をつくっちゃいましたからね。言いたいことも、やりたいこともあるけど、23歳という人生経験の中で 未だそれが彼の人生と直結していない人、と見るのが正しいのではないか、と勝手に考えています。
 しかしそうだとすると「今は(派遣)しかないから」という監督さんの置かれた状況が意味するのは何なのか。本当に就職はそんなに難しいものになっている のか。それとも作品中に登場する、鼻持ちならない就活王である彼のお友達が彼を評して言うように「(その職に就くために)何もしてない」からなのか。
 日本ってこのまま人が減って生産力も減って購買力を持った人もドンドン減って、経済活動そのものがどんどん体力を失って、壊れた公共社会基盤も直せなく なって、本当にあと20年もするとスラム化するんじゃないか、という不安を私は漠然と持っているのですが、「遭難フリーター」を見ると、そのような不安が すごく煽られます。
 でも、この作品の主眼は実は監督さん本人の自分探しの方にあって、結末に向かって社会的な広がりが閉じちゃうのですが・・・。いろいろ考えさせる作品で あることは間違いありません。自らの23歳を振り返るに、岩淵監督の持つ必死さとは程遠いところに居ましたね。バブルで就職間氷期で。足元の見えなくなる 嫌な時代でした。
2008年2月現在、香港国際映画祭とニッポン・コネクションに招待されてるみたいですね。おめでとうございます。「豊かな日本」を維持するために切り捨 てられている人がいる、という日本の現実を色々な人に見て欲しいですね。
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