Dean Shimauchi Translation
ディーン・シマウチ翻訳事務所
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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     100          < リストへ >
ニッポンコネクション
 最近2本のエントリーが両方英語だったので、アクセスが減 りました・・・。でも代わりに海外のアクセス がちょっと増えました。何でまたいきなり英語だったかというと、最近当事務所で字幕翻訳を担当した二本の 映画、いまおかしんじ監督の「たそがれ」と富田克也監督の「国道20号線」がフランクフルトのニッポンコ ネクションという日本映画祭で上映されたからでした。どちらも独特の感性で日本の今を切り取っている異色 作で、是非ドイツの皆さんに紹介できたらなあ、とか思ったわけです。

  ニッポンコネクションは2000年からほぼ毎年続けられている日本映画+文化紹介イベントで、当事務所 で字幕翻訳した作品も沢山招待されています。このような皆があまり知らないような催しで日本の映画が沢山紹介されているわけです。世界のいろんなところ で。  10年ほど前に某映画監督と話しているときに、監督さんが「映画祭っていうのはどこか田舎の温泉町みたいなところで他に何も見るものもないようなところ で観光客集客目当てでやって、1回だけ映画を上映して近 所のおばちゃんとかが見に来て、監督も温泉入れてよかったね、とかそんなもんだ」と仰ってました。もちろんそれに近いものも沢山あるでしょうが、しかしこ の重要な文化的浸透の突破口を軽んじてはいけないと思い ます。  最近私は映画祭に全然行ってませんが、あの映画愛に満ちた祝祭的空間の持つ独特な雰囲気は、素晴らしいものですね。その中で映画がとても肯定的に咀嚼さ れるのです。それまで知りもしなかった国の映画を知るのに、あれほどいい手段はない。いろんな衝撃に出会えるし、人にも会える。

 そしてもちろん大きな映画祭にはつきもののフィルムマーケットは映画の産業的な側面を活性化し支える重要な場ですからね。  今日本のアニメが世界中で消費されるに至った理由のひとつに、アニメを見て育った子供たちが大人になってその子供たちにとってアニメは空気のようなも の、という環境が成熟したからだと私は個人的に思っている のですが、これは戦略的に重要なことなのです。ある世代に受け入れられてしまえば、次の世代は当然のよう に「異文化」を受け入れられる可能性があるわけで、だから色々な映画なりテレビ番組なりを投下しておくの は後で芽がでる土壌作りとして大切なはず。だから映画祭のことを「田舎のお祭り」なんて言ってないで積極 的に作品を出していくのは必要なのではないかと思うわけです。いい作品は映画祭を巡っていきますしね。

 そのニッポンコネクションのオーガナイザーであるマリオン・クロムファス女史は「ここ近年、上映作品を 日本や海外の映画祭に選びに行っても、なかなかこれはという作品に出会えない。今年の選考のために150本 見ましたが、どれも日本人の中だけで完結している作品ばかりで、どの国の人が見ても共感できる普遍的な映 画が少ないんです。はっきり質の低下も感じています(バラエティジャパン2007/11/12記事より)」と意味深 なことを仰っている。

  この「日本の中だけで完結している」というのが難しいところですね。もともと日本映画は日本の中で完結 しているものばかりだったんじゃないのか。そう思っていたらベニスで賞をとったりアカデミー賞の外国語映 画賞にノミネートされたりして日本人はビックリしてきたわけですが、塚本晋也監督の「鉄男」あたりから積 極的に海外に攻めて行く精神的土壌が生まれて、もうあれから20年近く経ちますね。  「日本の中だけで完結している」というのはどういうことなのか。例えば「たそがれ」も「国道20号線」 もどうしようもなく日本的なものを描いた映画ですが、どちらも普遍性に貫かれている作品です。でも片方は ピンク映画でもう一方はほとんど自主映画ですね。システムの外にいる孤高の映画なわけです。「日本の中だ けで完結している」のが悪い訳ではない。そして「日本的」だからと言って「閉じてしまう」ということでは ない。

  映画産業の中には、日本の中で完結しないと日本のお客さんが呼べないのではないか、という危惧があるの か。アメリカ映画の多くは海外配給で儲けないと投資が回収できないので「誰が見ても一応楽しめる」ものに ならざるを得ないのですが、でもアメリカ映画は全部そうなのかというと、そんなことはないわけです。アメ リカの中で完結している映画もあるけど、外に出てこないだけで。そういう映画は国内配給とビデオ(ブルー レイ等含む)販売、テレビおよびケーブル放映だけで資金回収ができる規模で作るわけですよね。50億円と か使わない。  今(2008年4月)、日本映画はスタッフやキャストの確保のスケジュール調整が大変なほど沢山制作さ れていると聞きます。この環境の中で普遍的な魅力を持って大きな経済を動かす作品と日本の中で完結してし まう独自性を維持しても資金が回収できる作品をどうのようなバランスで作っていけるのか。興味深いところ ですね。両方存在して初めて産業ですからね。多様性を維持できる環境が続いて欲しいです。私はどっちも好 きですからねえ。

  アジアの中で日本の映画を見てもらえる環境ができあがりつつある今、上手に海外のお客さんも喜ばせてあ げる映画も必要なのでしょう。自分のうちの外で、相手が自分の家族じゃなくてもちゃんと振舞えるのか、人 気者でいられるのか。内弁慶を脱却できるのか。さまざまな世界の映画祭に向かって出て行く映画たちに字幕 をつけながらそんなことも考えています。
 ちなみに今年のニッポンコネクションの観客賞は藤田容介監督の「全然大丈夫」でした。
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