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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     114          < リストへ >
  20世紀少年第一章 其の三
前々回前回 の続き 最終回 です。

 さて、マンガ「20世紀少年」。20世紀少年で始まって21世紀の精神異常者の悪夢と対決する形で終わるこのドラマ。前の方で「AKIRA」のカメラ移 動を表現するコマ割とグラフィック表現、ということに触れましたが、この20世紀の天才漫画作家の大友克洋の影響を浦沢氏は受けているらしいです。「ユリ イカ」の対談か何かでそう本人が言っていたような。今手元にないので確認できないのですが。でも浦沢氏は実はドラマ構築の重要度の高さにおいてむしろ手塚 治虫なのではないでしょうか。

 大友克洋のドラマ構成のうまいところは実はドラマチックでない描写の中にあるドラマであって、その意味で彼は極めてロバート・アルトマンに近い作家だっ たのではないでしょうかね。加えて「描きたい絵」が先にあって、そのために話をつくるという、キューブリック的な部分も持っていた。ニューシネマの影響下 にいた時の大友が一番オリジナリティを感じさせていたような気がするのは、たんに私がニューシネマが好きだからなんだろうか。脱構築時代のドラマの語り方 なので、ドラマは否定されていたり、照れ隠しみたいに表現されたり、すかされたりかわされたりするのが、大友克洋の白眉だったのではないだろうか。

 だから「AKIRA」の時に「金田と鉄雄の子供時代の記憶に回収されて新しい宇宙の誕生に」という話も、それが提示された上でのドラマの帰結ではなかっ たので、すごく唐突な気がしたわけです。私は大友信者なので、それが良くないと否定してるわけではないのですが、やっぱり人間のドラマとして回収する為に は、もうすこし登場人物に寄った話を進めておくべきだったのではないか、と。彼はいつも「照れ臭い」と言ってますし、きっと照れたんでしょうね。メロドラ マに頼らないストーリーというのは実はとても難しいもので、「AKIRA」はその挑戦者ですから、その価値は高いものなんですが、やっぱり「照れてるな」 という気持ちは伝わるんですね。

 浦沢氏は、そこを照れないわけです。世代の違いでしょうか(ケンジがユキジに告白するところはやっぱり照れてますけど。自分の分身だからかな)。大友克 洋が避けながら照れながら最後の仕掛けに使った「子供時代の記憶」という装置を、そのまま作品テーマに据えたのが「20世紀」なわけです。そして話の意外 と早い時期に「敷島鉄雄教授ゼミの金田正太郎」があっさり死んだりする。何か自分に大きな影響を与えた物に決別して、先に行こうという決意みたいなもの だったんだろうか。

 「人気者といじめられっ子の記憶と宇宙創世」をつなげようとしてうまくつながんなかった「AKIRA」より、「人気者といじめられっ子の記憶のズレ」の 中でしっかり回収された「20世紀」の方が、ドラマとしては安心ですね。「WATCHMEN」(ウォッチメン)も基本はメロドラマとして語られるので、 やっぱり力強い。あ れは人間関係の奇跡を宇宙的真理が肯定する、みたいな展開があって、とてつもなく人間肯定感が強い話なんですが、最後にやっぱりブラックなオチをつけちゃ うところがムーア。嫌なオチがつかないのがやはりウラサワ、といった感じでしょうか。メロドラマを礼賛するものではないのですがやはり人間は人間の感情を 扱ったドラマに一番ヨワイんです。「AKIRA」がいかに壮大な話でも、ラストがあれじゃあ最後にアホなティーンたちが独立宣言をして暴走族みたいに走り 回ると未来が開けるのか!という印象から逃れられないですもん。

  また全然映画の話をしなかったですね。でも、それほど「20世紀」のマンガが好きなんだ、ということで。第一章オモシロイですよ。こういうお祭りは一緒に 騒ぐのが一番です。なんてったって、ロックンロールでノリノリですから。

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