Dean Shimauchi Translation
ディーン・シマウチ翻訳事務所
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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     124          < リストへ >
「崖の上のポニョ 密着!5人の天才職人」
  NEWS ZEROの特番として2008年の夏に放映されたポニョの舞台裏です。長年アニメを追いかけてきた身としては・・・浅い!ですが、何しろテレビ番組でしか も情報番組で、子どもが見ても理解できなければいけない、という制約を考えると十分濃い番組でした。浅い!と思っても面白かったです。

 スタジオ内の作画や美術の机のレイアウトが見られたことが大きな収穫でした(何の収穫?) なるほど、ああいう風に並んでるのか。宮崎駿氏は性格や血液型等で判断して「席替え」をするんだと何かで読みましたが、その一つの形を見た、というわけ で。ディズニーさんだったら美術監督は個室だろう、とか思いながら見ました。

 私が人生初めてお邪魔したアニメーション制作会社はタツノコプロで、ガッチャマンの背景つきセルと台本をもらって今思うと子供の分際ですごい経験をした のですが、実はポニョの時のジブリとあんまり違わないなーと思いました。手袋はめてセルの裏からアクリル絵の具で彩色してる女性の群れがいないとかもちろ ん時代を反映した違いは沢山ありますが。あと、スタジオそのもののアメニティが違う。昔のタツノコが悪かったとかいう話ではないですよ。子供の目では「働 きやすそうかどうか」なんて見てないですからね。「ガッチャマンの絵がある!」とかそんなことしか見てないですから。いただいたセルは、3枚に分割された BOOK背景に挟まれたA,B,Cセルがギミックっぽくて大喜びでした。気絶した戦闘員を脇に抱えてせり上がりに乗って出現する大鷲の健、というカット で、せり上がりBOOKがアニメーションスタンド上で移動。それ合わせて健のセルも移動、という。アニメーションの舞台裏を見た最初の一歩となりました。 「5人の天才職人」をみながら30年の時間の流れを・・・感じた次第。

 そういえばバーバンクにあるディズニー・スタジオに行ったとき(こっちは仕事)、広いなーと思ったことも思い出しました。土地の広さじゃ敵いませんね。 バーバンクも梶野町も郊外であることは同じなのですが・・・。

 もうひとつ個人的に貴重だ!と思ったのは、久石氏の作曲法が見られたこと。イメージ音楽をまずつくる、というのは久石・宮崎コンビがずっと前からやって いることですが、それを出来上がったシーンの尺に合わせてテンポと拍子をMIDIでサクッと合わせてアレンジしていく実作業が見られてちょっと興奮です。 うーむ便利な世の中だ。

 アフレコ収録風景が見られたのも楽しかったですね。東京テレセンに実際に赤ちゃんを連れてきて声を録ったり。サウンドデザイナーの仕事ですね。いい仕事 です。こういうところでNEWS ZEROは「日本のアニメは普通ありもののアーカイブ効果音を使うがポニョでは特別に録音された音がある」というまとめ方をするんですが、そういうところ にアニメ産業の貧乏さが・・・見え隠れ。音はその都度作って当然、という考え方が常態になるのはなかなか時間がかかります。作ると金がかかるし何より時間 がかかりすぎ。時は金ですからね。

 ディズニーのアニメは先に台詞を録音してそれに対して絵を描いていくので、なお更時間がかかります。今はコンピューターで音声の波形を見ながら台詞を拾 うことができますけどね、以前はパーフォレーションの空いた磁気録音テープをシンクロナイザーというフィルム手送り機械で送ったり戻したりしながら台詞を 耳で聞いて探して台詞頭が何フィート目に来るか書き起すという・・・!馬鹿みたいな作業をしてたわけです。道理でハリウッドは一度アニメーションに見切り をつけた わけ ですね。何をするにも人件費がかかりすぎる!ディズニーですら実写映画で細かく稼いで採算を上げようとしたわけでしょう!

  しかし先に台詞を録音する(プレスコ=pre-scored)方法は芝居を先に存在させて絵を合わせていく、という原理。対してアフレコ(=post dubbing)は作画者が鉛筆握って演技する、というもの。アニメーションに対する本質的な哲学の違いが見えるような気がします。どちらが優れている、 というのではなく。キャラクターをどう描くか、という気持ちが違ってくると思うのですよ。

  ただ、前にも聞いたような音が別の作品に出てくるとガッカリしますよね。私がガンダム人気に踊らされていた頃、NHKで「小鹿物語」が始まりました。第一 話、コンピューター作画による橋を回りこんで渡っていくカットなどがあって、すごく頑張っているなーと思いながら見ていると、主人公のお父さんが害獣であ る鹿を撃ち殺す時の効果音が「ビームライフル」と同じ・・・。そーか、ありもの効果音なんだね、という冷めた気分を今でも覚えています。ライフル撃って 録ってこい!とは言いませんが、ビームライフルはないだろう・・・。

  ポニョに限っては「あ、聞いたことあるぞ、あの音!」ってのはないですから。ジブリの劇映画と週一のテレビ番組の予算を比べるのは残酷かも知れないです が。

 「ポニョ」は「聞いたような音」はなかったけど「見たようなシーン」はあって、海の底の町は「雨降りサーカス」だなあ、とか思いましたが、宮崎氏はエボ シ御前の腕が食いちぎられるようにしてクシャナが腕を無くすに至ったサイドストーリーをこっちでやったとか、以前やったことがずっとつながっているように 見受けられるので、「ポニョ」は「雨降りサーカス」のグレードアップ版だな、と。

 映画全体が持つあの「彼岸」な気分は、ムーミンの話を思わせるものがありましたね。常に天変地異の危機に晒されているムーミンの世界。話はノンビリして るんですが、世界は常に危機に瀕しているという。その中で普通の生活をしてる、っていうムーミンの世界は、ムーミンが人間ではないので軽く受け入れてまし たが、「ポニョ」は現在の日本の人間の話なので幾つか飛び越える思考的障壁がありました、フウ。

 でも飛び越えてみるとこれは「いやいやえん」の話みたいにいきなり積み木の船で海にでちゃったり、子熊が転校してきたり、という世界と地続きでいいんで はないか?と勝手に納得しました。20歳くらいの若造の自分であったらたぶん受け入れられなかったかもしれないですね。現に「トトロ」は20代前半に見 て、駄目でした。自分が見て育った東映動画的なものを拒否したくてしょうがなかった年齢でしたし。でも、後でみて、いい映画だなあと、変わったわけです。 特に子供ができてからはまったく見方が変わりました。

 「ポニョ」も子供がいる人といない人でずいぶん印象が違うかもしれないですね。

 もう一つ、「トトロ」に猫バスがでてきても受け入れやすいんですが、あれはやっぱり「トトロ」が「終わってしまった時代」の話だからなのかな、と「ポ ニョ」を見ながら考えました。「ポニョ」はずばり「今」なので、ほころびられると困る!という気分を乗り越える努力をしないといけない。「トトロ」は「既 視感」があるが本質的に「むかしむかし」なので、何があってもいいや、という。

 「ポニョ」の話になっちゃうましたが、当事務所でやったのはNEWS ZERO スピンオフ「“崖の上のポニョ”密着!5人の天才職人」です!

 ああ、最後に。宮崎氏のインタビューは難しかった!一言ごとに別の話に行こうとする。頭の中でずっと考えていることの一部だけ喋る。言葉が多い。以前 やった淀川長治氏も難しかったが・・・。ヨドチョーさんよりは主題がハッキリしている分楽だったかもしれません。もちろん喋る内容は面白かったですね!

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