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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     137          < リストへ >
ユリ子のアロマ
 江口のりこ主演のこの映画、最初はいわゆる「女性映画」かな、と思って鑑賞開始。

「女性映画」って・・・古くさい響き。70年代な感じ。そもそもどういうのが「女性映画」 と呼ばれてたんだろうか。思い出してみると・・・

「結婚しない女」とかそういうのかな?

 女性の社会の中での存在が伝統的枠組みからはみ出していく時期の、第二次女性解放運動のリブの延長みたいな意味での新しい女性像、みたいな映画が流行っ た時期がありましたね、そういえば。

 映画というものは(特にハリウッド映画というような烙印を捺される興行作品においては)不特定多数の観客の望みのライフスタイルを描くことが金になる、 という事で「 これからは私の俺の時代!」みたいなものを非現実的にドラマチックに描いてお客さんを呼ぶ、という・・・

 そういう流れの中で日本の配給会社が「女性映画」というジャンルで売ったということかな。何故か私は結構好きでありました。

 さて「ユリ子のアロマ」は、 女性解放以後の女性社会進出とそれに伴う悲喜劇、という意味での70年代女性映画とはもちろん全然違う映画でした。なんで「女性映画」というキーワードを 思い浮かべたか・ ・・多分女性のアロマセラピストというところで勝手に「癒し」というような印象を持っ てしまったからか。癒されないわけではないのですが。そして女性の個人的/内面的な変 貌と受容と解放の物語であるという点では「女性映画」としても成立するのですが・・・

 それよりなにより、この映画がパワフルなのは

「童貞映画」

としての構造の方なのでした !染谷将太くん・・・「パンドラの匣」で見せた素晴らしい存在感がここでは多少タイプキャスト的な方向へ。そう、ズバリ「童貞」という・・・。で、これが 非常に上手いんで すけどね。高校生であることの楽しさと悶々とした部分を非常に無理なく体現しています。

 この「童貞映画」としての正統的なノリの正しさは、やはり監督さんの思いいれの強さ か。体は発達して、いろいろ出来そうなのにどうしたもんかよくわからない、という人生 の微妙な時期。この要素を「いろいろあってツラくなってしまった大人の女性」の精神的 な旅路と組み合わせるというのは、新機軸(かな?)。

 ただの「童貞映画」だったら大人 の女性は単に理想化された女性で十分で、お約束に従えば最後の方でそれが「理想化に過 ぎなかった」ということがわかって、少年の心が成長して、同年代の女子に気持ちが向いて目出度しメデタシ。そんなのがよくある童貞映画の定番的展開ですよ ね。

 でも、この映画はもっとちゃんと類型に陥らずに登場人物の成長を追いかけていくのでした。その時に 「染谷くんなら許す!」という事が大きくこの映画を支えているのではないか、とも思 いました。青春モノで観客に反感を覚えなさせない、というのは実はすごく難しいのではないか、と。

 この作品でド肝を抜かれたのは、キャノンEOS 7Dという映画用カメラじゃない一眼レフで撮られた!ということ。価格.comで調べると本体は10万円程度。レンズだ何だとあっと言う間に15万超えて いくのでしょうが、しかし!20万以内の機材で劇場公開できるHD品質の動画が撮れる!恐ろしい時代になったものです。レッドカメラ、もう要らない!?

 カメラが入り込める空間が、映画用機材とは全然別次元のものになりますからな。ステディカムの登場が映画の移動撮影の概念を変えたように、何か表現の革 新が起こるのかも・・・とワクワクさせてもくれた「ユリ子のアロマ」だったのでした。

 海外の映画祭でも露出も高い優秀な小品。DVDも出てるので、是非。

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