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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     139          < リストへ >
白夜行
 第61回ベルリン映画祭で上映された「白夜行」、すすり泣く観客、満場の拍手!という報が入ってきました。よかった、よかった。

  これを書いている時点で、上映中ですので内容を具体的に書きませんが、この作品は深川監督が十枚くらい皮が剥けて大きな物語を、極めて芸術的な美的感覚と 緻密な舞台演出(プロップとか音楽とか衣装とか台詞とか)と上質な演技によって語っていく術を見事に身につけ、発揮していることが最初の瞬間からヒシヒシ と見るものに感じさせる作品だ、ということは間違いありません。

 画そのものもいい 。物語は70年代後半から始まるのですが、「画」がその頃のレンズを使って、その頃の照明をしてその頃のフィルムで撮影したかのような雰囲気を捉えて いるのです。イーストマンカラーのネガフィルム7247とか、あの70年代 的なちょっとコントラスト強い、暗いところが暗い、照明の仕方によっては怖い感じのあの「画」。当然フィルムじゃないと思うんですが、どういう処理を したのだろうか。

 そして当時のズームレンズが持っていた被写界深度の浅さが生みだす、「圧迫されたような、詰まった感じ」とか。それが気合の入った時代考証の衣装、髪型 やセットとあいまって、匂いも感じられそうな空間を作り出している。もうこれは「ゴッドファーザー」の時のコッポラとゴードン・ウィリスが生み出したもの に近い美的完成度だと、個人的に断言します。

 はっきりした時代の移 り変わりが物語の重要な要素なので、その表現には抜かりが無く、特に大学時代の恥ずかしさといったら、当事者は赤面せずにはいられない。深川監督若いの に・・・トレンディドラマでも見て研究したのか。

 本田美奈子の歌「1986年のマリリン」とともに始まる1987年の場面・・・グレン・フライのYou Belong to the Cityのイントロみたいに始まってDuran Duranみたいなリフを効かせながら何故か昭和歌謡になっていく・・・こういうものだったかな、当時の歌謡曲。美奈子さんの当時の歌は、ポインターシス ターズみたいなイントロ とか、マドンナみたいな衣装とか、時代ですなあ。なぜ私が同時のアイドル歌謡を聞かなかったか、思い出しました。

 オジサンの過ぎた青春は置いておいて、そういう時代感覚が隅々まで行き届いているわけです。ありがちな、舞台は「一見昔」だけど、口を開けば「今」とい う半端な演出ではないのです。もちろん複雑な原作を2時間ちょっとで処理した見事さ等、特出すべきものは他にも沢山あるのですが、内容に関わることは書き ません。

 急激に「モノ」が増えて消費することに人生の価値が置かれ始めた70年代の中盤以降から、80年代の狂騒的経済活動を通り抜けて進行する物語として、殺 人事件以外の部分にも色々な悲喜劇が見え隠れする物語の装置は実に見事、とだけ言っておきましょう。 重っ苦しい主題の陰に、実に色々な、時代を写した要素が真面目に画像に定着 されていて、その社会そのものを捉える視点と考察がこの映画を単なる推理モノ以上の映画にしてい ます。

 劇場で見る映画ですね、DVDでもBlue Rayでもなくて。

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