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字幕翻訳者 の戯言 アーカイヴ     151          < リストへ >
11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち
 当事務所で英語字幕を翻訳した若松孝二監督の「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」カンヌ映画祭、ある視点部門招待。これを書いている5月16日、もうカンヌは始まっていますが「11.25」の上映日はいつなんだ ろう・・・。現地での反応が楽しみですね。
 さて、三島由紀夫の死という、既にいろいろ語られている事件がこの映画の核にあり、そういった意味においては特に秘密にする内容ではないかもしれないの ですが、実際に若松監督が三島由紀夫最後の数年に散らばった運命的な点をどう繋げて三島が迎えた最後を理解していくかということはやはり映画を見ないとわ からないので、ここでは当然触れません。学生運動の左翼と右翼の軋轢およびそれを制圧しようとする警察権力との軋轢、という二重構造の中に更に三島が掲げ ていた理想の日本というか日本人ひいては天皇像がどう絡み合ってあの最後の瞬間に昇華したか、と言葉で言うとわかりにくいのですが、これが井浦新の圧倒的 な存在感によって見事に腑に落ちるものになっている、とだけ言っておきましょう。後、左翼トークは難しかった!ああいう青春が完全に否定された頃に私は大 学生になりましたからねえ・・・政治ヲタクっていうんでしょうかね。ビートルズが2,3年早かったら、ああいう流行は生まれなかったのかもしれないです ね。
 さて、三島に戻りますが兵役から逃げて作家として戦後という時代の寵児になった男が2・26事件の亡霊に憑かれたかのように殉死に魅了されていく過程に 井浦新が血肉を与えて何と言うか、ストイックにしてエロチックです。戦後25年間、日本が急いで葬ろうとした戦前の日本が隠しきれずに漏れ出すような、そ んな瞬間が政治の季節を通じて訪れたのが1960年代最後の数年だったのかもしれません。
 私の父が三島由紀夫と同じように”戦争に行き損なった”というか”お国の為に死に損なった”世代(若年であったので戦時教育でバリバリお国の為に死ぬ気 になっていたと思春期ど真ん中で終戦を迎えた)なので、観念としての”日本”という捉え方はわからないでもない。ただ、こちとらそれを終戦以前に肯定した のと同じくらい一生懸命に否定する時代に育ったものだから、実はすごく二律反側的なものとして意識の中にあるわけです。だから「美しい日本」とかいうお題 目は気持ち悪くて嫌なんですが・・・三島氏は自分の中にそれを復活、純化させて殉死、というような。
加えて若い頃にやり損なった何かを嬉々としてやっているような、遅れて来た初恋に舞い上がってい る中年男ような、そんな観念的で個人的な情熱と葛藤を井浦新演じる三島を見ていると、感じられるような気がします。

カンヌでのご成功をお祈りします!

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